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【コラム】祭りを彩る「山車」、「屋台」の違い

栃木県内には、全国に誇る絢爛豪華な伝統の祭りが数多く存在します。「烏山の山あげ行事」「鹿沼今宮神社祭の屋台行事」「日光弥生祭付祭家体献備行事」「とちぎ秋まつり」「宇都宮二荒山神社菊水祭」「大田原神社の屋台行事」など、いずれも美しい出しものが街を巡り、見る人を圧倒します。

これらの祭りで活躍する出しものは、「山車(だし)」「屋台(やたい)」などと呼ばれますが、それぞれにどのような特徴があるのでしょうか。

「山車」— 神様をお迎えする「目印」

かつて人々は、険しい山岳に神様が宿ると信じていました。そのため、神様が地上に降りてくるための目印(=依代・よりしろ)として、山の姿を模した飾りを施したのが始まりです。このため、「山車」と呼ばれるものの多くは、上部に神話の神様や英雄の巨大な人形を高く掲げています。

栃木県内の具体例:

「とちぎ秋まつり」の山車がこれに当たります。天照大神や神武天皇などの精巧な人形を天高く掲げているのは神様をお迎えするためと考えられます。

また、「烏山の山あげ行事」では、車輪で引くのではなく、和紙で作った巨大な山(背景)をその都度道路に直接組み立て、神様の依代としています。

  • 烏山の山あげ行事の「山」

  • とちぎ秋まつりの「山車」

「屋台」— 人々を魅了する「移動式の舞台」

一方、「屋台」は人が中に入り、祭り囃子を奏でたり、踊りを披露したりするためのものです。祭り囃子を演奏する【囃子屋台】と手踊り狂言等の舞台となる【踊り屋台】に分類することもあります。いずれにしても神様を天からお迎えすることよりも、お祭りを盛り上げ、観客を楽しませる「見せるための演出」に特化して発展してきました。構造も、縦長な山車に対して、横長で家のような箱型をしているのが特徴です。

栃木県内の具体例:

県内には全国的な評価を受ける屋台文化がひしめき合っています。

「鹿沼今宮神社祭の屋台行事」の彫刻屋台は、江戸時代の高度な木彫りや彩色の技を今に伝え、ユネスコ無形文化遺産に登録されています。

また、「日光弥生祭付祭家体献備行事」で華やかなヤシオツツジの造花をまとった家体(やたい)が新緑の街を練り歩く姿は、動く絵巻物のようです。

宇都宮二荒山神社菊水祭では、江戸時代の豪華絢爛な彫刻を今に留める伝馬町の屋台などが格式高く街を巡行することがあります。

さらに、大田原市の 「大田原神社の屋台行事」では、江戸時代の見事な木彫り技術を残す屋台が交差点に集結し、激しくお囃子を競い合う「ぶっつけ」で観客を圧倒します。


目の前を通り過ぎる出し物が神様の依代となる 「山車」なのか、迎えた神をにぎやかし慰撫する 「屋台」なのか、その役割などに注目してみると、いつもの祭りの風景がぐっと奥深く、新鮮に見えてくるはずです。

  • 鹿沼今宮神社祭の屋台行事の「屋台」

  • 日光弥生祭付祭家体献備行事の「家体」

  • 宇都宮二荒山菊水祭の「屋台」

  • 大田原の屋台行事の「屋台」