旬な催し物情報
メニュー
文字サイズ
文字サイズ小
文字サイズ中
文字サイズ大

強飯式

ごうはんしき

開催期間
2020/4/2~2020/4/2
区分/種別
指定なし
所在地
日光市山内2300
時代
古代-奈良時代
問い合わせ先
日光山輪王寺(0288-54-0531)
文化財概要

強飯式は、全国でも日光山だけに古くから伝わる独特な儀式で、古く奈良時代、勝道上人の日光開山の時に遡ります。日光山は神仏習合の霊山として開かれ、山伏の山岳修行が盛んになり、行者たちが山中のご本尊に供えたお供物を持ち帰り、里の人々に分かち与えたことが始まりとされています。その後、日光三社権現(本地は千手観音・阿弥陀如来・馬頭観音)から御供をいただく儀式へと発展し、江戸時代にほぼ現在の形になったといわれています。
 儀式全体は、「三(さん)天(てん)合(ごう)行(ぎょう)供(く)・採(さい)灯(とう)大(だい)護(ご)摩(ま)供(く)」「強飯 頂戴の儀」「がらまき」のおおよそ3つの部分から成っています。
 まず、僧侶・山伏・頂戴人、約20名の行列が法螺貝の響き渡る中、大護摩堂に入堂します。お堂の全ての扉が閉じられ、照明も全て消され、明かりは壇上に灯された一本のロウソクのみとなります。やがて、堂奥から「三天合行供」の読経の声が立ち上り、壇上には「採灯大護摩供」の赤々した炎が上がり、堂内は神秘的な雰囲気で満たされます。
 この秘法が終わると、堂内が明るくなり、頂戴人が壇上に並び、いよいよ「強飯頂戴の儀」が始まります。式は「御(ご)神(じん)酒(しゅ)」「祈願文」「強飯」「菜膳」「金甲」「供養」の順で進みます。中でも、山伏姿の強飯僧が裃姿の頂戴人に三升もの山盛り飯を差し出して「75杯、残さず食べろ」と責め立てる儀式は見ものです。飯を強いられ、飯を頭上に乗せられた滑稽な頂戴人の姿は、参観者の笑いを誘います。
 この儀式を無事済ませた頂戴人たちが、儀式で授かった福徳を「自分だけのものとせず、他の人にも分けてあげる」という仏教の教えにのっとり、一般参拝者へ向けて一斉にまく「がらまき」で総仕上げ、めでたく強飯式は結びとなります。
 強飯頂戴人は、江戸時代には、十万石以上の大名でなければ務めることができず、徳川将軍家の名代や全国の名だたる大名たちも「我が藩の名誉」として強飯頂戴人に名を連ねました。当時、日光山といえば天皇の皇子を「輪王寺の宮」として迎えた鎮護国家の道場として天下に知られ、大名といえども、おいそれとはこの儀式に参加できなかったからです。そうした伝統に従い、現代においても、頂戴人を十万石以上の大名の格式でお迎えしています。


地図を大きく表示